
建設業許可を取得するかどうかを判断する際、最もよくある質問が
「うちは500万円未満の工事しかしていないから、許可はいらないですよね?」
というものです。
確かに「軽微な工事」には許可が不要なケースがありますが、その“境界”を正しく理解していないと、**無許可営業(違法行為)**にあたるおそれもあります。今回は、その線引きをわかりやすく解説します。
■ 軽微な工事とは?建設業法の基本ルール
建設業法では、「軽微な工事」=許可不要工事と定められています。
具体的には次のとおりです(建設業法施行令第1条の2)。
【建築一式工事の場合】
- 1件の請負代金が**1,500万円未満(税込)**の工事
または - 延べ面積が150㎡未満の木造住宅の新築工事
【建築一式工事以外の工事(専門工事など)の場合】
- 1件の請負代金が**500万円未満(税込)**の工事
この基準額を1円でも超える工事を請け負う場合は、建設業許可が必要になります。
また、「税込」の金額であることも注意が必要です
■ 「500万円未満だから大丈夫」は本当か?
よくある誤解が、「契約書上の金額が500万円未満ならOK」という考え方です。
しかし、次のようなケースでは軽微な工事とは認められません。
❌ 分割請負による回避
同一現場を2回の契約に分け、各々を500万円未満にしても、実質的に一つの工事であれば「1件」とみなされます。
❌ 材料支給分を除外
「材料は支給だから請負代金は400万円」としても、**工事の総額(材料+工事費)**で判断されます。
❌ 追加工事の積み上げ
同一現場・同一目的で追加契約を重ねて合計が500万円を超える場合も、やはり「1件」と判断されることがあります。
■ 軽微な工事であっても注意すべき点
軽微な工事で許可が不要な場合でも、他の法令が関係することがあります。
- 電気工事士法・消防法・建築基準法などの資格・届出要件
- 元請業者からの「許可業者限定」発注
- 公共工事や下請け参入時の信用調査(許可の有無で評価が変わる)
実務上、「小さな工事だから許可はいらない」と安易に判断せず、
将来的な取引拡大や信用確保のためにも建設業許可を取得しておく方が有利であることは間違いありません。
■ まとめ:許可の境界を正確に理解し、リスクを回避
| 区分 | 許可不要(軽微な工事) | 許可が必要な工事 |
|---|---|---|
| 建築一式工事 | 1,500万円未満 or 木造150㎡未満 | 1,500万円以上または150㎡以上 |
| その他の工事 | 500万円未満 | 500万円以上 |
※いずれも税込金額。分割契約・追加契約などは実質判断されます。
■ 行政書士事務所RTSからのアドバイス
現場規模が拡大したり、元請けからの要請が出たりするタイミングで、急に「建設業許可が必要だ」と慌てる事業者様が少なくありません。
申請には経営業務管理責任者・専任技術者・財産要件などの準備期間が必要です。
今後の事業拡大を見据えて、早めに許可取得の準備を進めましょう。
当事務所では、業種選定・要件確認・申請書作成まで一貫してサポートしております。
また、要件についても様々な切り口があり、特殊な例での申請実例も複数ある事務所です。
まずは無料相談をご利用いただき、建設業許可の可否も含めてご相談ください。
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