建設業許可を申請・維持していくうえで、「専任技術者」と「主任技術者」という似た言葉が登場します。
しかし、両者の役割や配置目的はまったく異なるため、誤解すると許可取消や現場停止などの重大リスクにつながります。

この記事では、現場実務と法令の両面から、両者の違い・要件・兼務可否を整理します。


🧱 専任技術者とは(営業所に配置)

専任技術者とは、営業所(本店・支店など)に常勤する技術責任者であり、
「その業種の建設業を営業できる能力を会社として備えている」ことを示す人です。
主に 許可要件上の人材 として位置づけられます。

✅ 主な要件(いずれかを満たす)

区分要件内容
学歴大学・高専等で指定学科卒+実務経験(3年)
資格1級・2級施工管理技士、技術士など
実務経験同種工事の実務経験10年以上(学歴・資格なしの場合)

📍ポイント:

  • 各営業所ごとに1名以上が必要。
  • 常勤性(週40時間勤務など)が求められ、他社兼務は不可。

🏗 主任技術者とは(工事現場に配置)

一方の主任技術者は、実際の現場に配置される工事管理の責任者です。
受注した工事を適正に施工するための現場技術管理者として、施工体制台帳にも記載されます。

※要件は専任技術者と同じです

📍ポイント:

  • 各工事現場に1名配置が必要。
  • 工事ごとに異なる現場に出向くため、「常勤」ではなく「専任配置」として扱われます。

⚖ 専任技術者と主任技術者の比較表

項目専任技術者主任技術者
配置場所営業所(本店・支店)各工事現場
主な役割許可要件を満たすための責任者現場の施工管理責任者
常勤性常勤(営業所勤務)専任(工事期間中現場勤務)
必要人数各営業所に1名以上各現場に1名以上
資格・経験建設業許可要件に準じる工事規模・区分により異なる
他社兼務不可原則不可(元請・下請兼任制限あり)

🔁 専任技術者と主任技術者の「兼務」はできるのか?

結論から言うと、一定の条件を満たせば兼務可能です。(社長が専任技術者などの会社は兼務しているケースが多いです)

兼務可否内容
✅ 可能な場合小規模工事・同一営業所の近距離現場など、
営業所勤務と現場管理を実質的に両立できる場合。
ただし、常勤性を損なわないことが前提。
❌ 不可の場合現場が遠隔地にある、工事規模が大きい、複数現場を同時担当する場合。
また、専任技術者が複数現場を掛け持ちするのも不可。

📍実務ポイント:

  • 同一人物が兼務する場合、営業所に「常勤している実態」が客観的に確認できなければ認められません。
  • 監督署や都道府県建設業課が現場確認に来るケースもあるため、勤怠記録・出勤簿・現場日報などの整備が重要です。

💡 よくある誤解と注意点

  1. 「資格があるから専任技術者にできる」とは限らない
     → 常勤性・経験年数・学科要件・工事区分など、複数条件を確認する必要があります。
  2. 「専任技術者=現場に行けない」わけではない
     → ただし、営業所での常勤実態を損なう場合はアウト。
  3. 主任技術者を置かずに工事を行うと法令違反
     → 建設業法違反に該当し、指名停止や許可取消のリスク。

🏢 行政書士RTSのサポート

行政書士事務所RTSでは、

  • 専任技術者・主任技術者の配置要件チェック
  • 兼務可否の事前確認
  • 資格証・実務経験証明の作成支援
  • 都道府県への事前相談代行

など、建設業許可及び維持に関するアドバイス及びサポートを一括で行っています。

兼務にはポイントを抑えることが重要です。知らずに事業を進めてしまうことが一番のリスクです。

✅ 「専任技術者の選任で迷っている」
✅ 「現場兼務で許可維持できるか不安」
— そのような場合は、ぜひご相談ください。

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増田良和
増田良和