
「建設業許可を取りたいけれど、自社が何工事業になるのか分からない」
「内装工事をしているから、建築一式工事業を取ればいい?」
「外構工事は、とび・土工?造園?舗装?」
「機械を設置しているから、機械器具設置工事業でいい?」
建設業許可のご相談では、そもそも何の業種で許可を取ればよいのか分からないというケースが意外と多くあります。
建設業許可は、「建設業」という1種類の許可を取ればすべての工事ができる制度ではありません。
建設工事は、
2種類の一式工事+27種類の専門工事=合計29業種
に分かれており、原則として、実際に営業しようとする工事に対応した業種の許可を取得する必要があります。複数業種を同時に取得したり、後から業種追加をしたりすることも可能です。
ところが、実際の現場では、
「○○改修工事」
「設備工事一式」
「外構工事」
「店舗工事」
「プラント工事」
など、工事名だけでは許可業種を判断できないケースが少なくありません。
今回は、2026年8月時点の建設業法、国土交通省の建設業許可事務ガイドライン、東京都の公表資料をもとに、間違えやすい建設業許可の業種区分を分かりやすく解説します。
建設業許可は全部で29業種
現在の建設業許可は、次の29業種に分かれています。
一式工事
- 土木一式工事
- 建築一式工事
専門工事
- 大工工事
- 左官工事
- とび・土工・コンクリート工事
- 石工事
- 屋根工事
- 電気工事
- 管工事
- タイル・れんが・ブロック工事
- 鋼構造物工事
- 鉄筋工事
- 舗装工事
- しゅんせつ工事
- 板金工事
- ガラス工事
- 塗装工事
- 防水工事
- 内装仕上工事
- 機械器具設置工事
- 熱絶縁工事
- 電気通信工事
- 造園工事
- さく井工事
- 建具工事
- 水道施設工事
- 消防施設工事
- 清掃施設工事
- 解体工事
軽微な建設工事のみを請け負う場合を除き、これらの建設工事の種類ごとに許可を受けるのが基本です。
ここで重要なのは、
会社名や見積書に書かれた「工事名」だけで許可業種を判断しないこと
です。
実際に「何を」「どのように施工するのか」「どこまでを請け負うのか」を確認する必要があります。
よくある間違い①「建築一式」があれば建物関係は全部できる?
これは非常に多い誤解です。
「建築関係の会社だから、とりあえず建築一式工事業を取ればいい」
と思われることがあります。
しかし、
建築一式工事業は「建物に関する工事なら何でもできる許可」ではありません。
東京都の手引では、建築一式工事について、
原則として元請業者の立場で、総合的な企画・指導・調整の下に建築物を建設する工事
と整理され、代表例として「建築確認を必要とする新築及び増改築」が示されています。
そして東京都は、建築一式工事業の許可だけを持っている会社が、他の専門工事業の許可を持たずに、軽微ではない専門工事を単独で請け負うことはできないと明示しています。
たとえば、
「○○邸内装改修工事」
として内装工事を単独で請け負うのであれば、工事内容によって「内装仕上工事」として考える必要があります。
つまり、
「改修工事だから建築一式」
「いろいろな作業が入るから建築一式」
「見積書に○○工事一式と書いたから建築一式」
というものではありません。
よくある間違い② 内装工事はどこまで「内装仕上工事」?
内装仕上工事には、国土交通省の例示上、
- インテリア工事
- 天井仕上工事
- 壁張り工事
- 内装間仕切り工事
- 床仕上工事
- たたみ工事
- ふすま工事
- 家具工事
- 防音工事
などがあります。
意外と分かりにくいのが「家具工事」です。
ここでいう家具工事には、建築物に家具を据え付けたり、家具の材料を現場で加工・組み立てて据え付けたりする工事が含まれます。
そのため、
「家具だから建具工事」
とは限りません。
実際の施工内容を見て判断する必要があります。
よくある間違い③ 外構工事は「とび・土工」?
「外構工事」は、特に判断に迷いやすい名称です。
国土交通省の工事例示では、外構工事は「とび・土工・コンクリート工事」の例示の一つとして挙げられています。
ただし、実際の外構工事には、
- コンクリート
- ブロック
- フェンス
- 舗装
- 植栽・造園
など、さまざまな工事が含まれることがあります。
たとえばコンクリートブロックについても、
土木工事として大規模なブロックを据え付ける場合、擁壁として積む場合、建築物やエクステリアとして施工する場合などで、「とび・土工・コンクリート」「石」「タイル・れんが・ブロック」など区分が変わり得ます。
したがって、
「外構工事という名前だから必ず、とび・土工」
と一律に判断するのではなく、具体的な施工内容を確認する必要があります。
よくある間違い④ 鉄骨工事は「とび・土工」?「鋼構造物」?
鉄骨を扱う工事も、施工範囲によって業種が変わる代表例です。
国土交通省は、
鋼構造物工事
鉄骨の製作・加工から組立てまでを一貫して請け負う工事
とび・土工・コンクリート工事
すでに加工された鉄骨を現場で組み立てることのみを請け負う工事
と区分しています。
つまり、
「鉄骨を扱う=鋼構造物工事」ではありません。
実際にどこからどこまでを請け負っているのかが重要になります。
よくある間違い⑤ 給排水工事は「管工事」?「水道施設工事」?
名称が似ているため、これも間違えやすい組み合わせです。
国土交通省では、上下水道関係の工事について、おおむね次のように整理しています。
管工事
家屋その他の施設の敷地内の配管や、上水道等の配水小管を設置する工事
水道施設工事
上水道等の取水・浄水・配水施設や、下水処理場内の処理設備を築造・設置する工事
土木一式工事
公道下等の下水道配管工事や、下水処理場自体の敷地造成工事
という区分です。
そのため、
「水道関係だから水道施設工事業」
とは限りません。
一般的な建物内の給排水設備工事であれば、まず「管工事」に該当するかを確認することになります。
よくある間違い⑥ 機械を設置すれば「機械器具設置工事」?
これも実務上かなり注意が必要な業種です。
機械器具設置工事には、
- プラント設備工事
- 運搬機器設置工事
- 内燃力発電設備工事
- 集塵機器設置工事
- 揚排水機器設置工事
- 遊技施設設置工事
- 舞台装置設置工事
- サイロ設置工事
- 立体駐車設備工事
などが例示されています。
しかし、
「機械を取り付ける工事=すべて機械器具設置工事」ではありません。
国土交通省は、機械器具の種類によって電気工事、管工事、電気通信工事、消防施設工事などと重複する場合には、原則としてそれぞれの専門工事に区分し、それらに該当しない機械器具又は複合的な機械器具の設置を機械器具設置工事として整理しています。
たとえば、通常の建物内の空調機器設置については、内容によって「管工事」となることがあります。
このため機械器具設置工事は、他の専門工事に該当しないかを先に確認することが重要な業種です。
よくある間違い⑦ 太陽光パネルは「屋根工事」?「電気工事」?
太陽光発電設備についても、施工内容によって区分が異なります。
国土交通省は、
屋根一体型の太陽光パネル設置工事 → 屋根工事
太陽光発電設備の設置工事 → 電気工事
という区分を示しています。
そのため、
「太陽光パネルを屋根に載せるから全部屋根工事」
というわけでも、
「太陽光だから全部電気工事」
というわけでもありません。
具体的な設備内容・施工方法を確認して判断します。
よくある間違い⑧ 防水工事なら全部「防水工事」?
こちらも工事名称だけで判断すると間違えることがあります。
国土交通省では、
建築系の防水工事 → 防水工事
とする一方で、
トンネル防水工事などの土木系防水工事 → とび・土工・コンクリート工事
と整理しています。
さらに、防水モルタルを用いた防水工事については、左官工事業又は防水工事業の許可で施工可能とされています。
つまり、同じ「防水」という名称でも、施工対象や施工方法によって区分が異なる場合があります。
よくある間違い⑨ 看板工事は何工事?
看板・屋外広告物の工事も、施工内容によって区分があります。
国土交通省では、
現場で屋外広告物の製作・加工から設置までを一貫して請け負う工事
を鋼構造物工事における「屋外広告工事」とし、
それ以外の屋外広告物設置工事を、
とび・土工・コンクリート工事
と整理しています。
そのため、
「看板だから全部とび・土工」
「鉄製の看板だから全部鋼構造物」
という判断ではなく、実際の請負範囲まで確認することが必要です。
よくある間違い⑩ 板金屋根は「板金工事」?
名前だけを見ると「板金工事」と思われがちですが、
板金屋根工事は「屋根工事」
に区分されます。
国土交通省は、「瓦」「スレート」「金属薄板」などは屋根をふく材料の違いを示したものにすぎないとして、板金屋根工事についても屋根工事に該当すると整理しています。
このように、使用する材料だけでなく、
最終的に何を施工する工事なのか
を見る必要があるケースもあります。
複数の工事が入っていたら「全部の許可」が必要?
ここは非常に重要です。
たとえば、主たる工事を行うために、
「少し電気工事も必要になる」
「コンクリート工事も発生する」
「内装を復旧する必要がある」
ということは珍しくありません。
だからといって、
一つの契約に複数業種の工事が含まれていれば、必ずすべての業種の許可が必要になる
というわけではありません。
建設業法第4条には、**「附帯工事」**という考え方があります。
許可を受けた業種の建設工事を請け負う際、その工事の施工によって必要となる従たる工事や、主たる工事を施工するために必要となる従たる工事で、それ自体が独立した使用目的を持たないものについては、主たる工事と併せて請け負うことができます。
附帯工事に当たるかどうかは、
- 注文者の利便
- 建設工事の請負契約上の慣行
- 主たる工事との一連性・一体性
などを総合的に見て判断されます。
したがって、
「複数業種があるから全部の許可を取る」
のではなく、
主たる工事は何なのか、他の工事は独立した工事なのか、それとも附帯工事なのか
を整理することが重要です。
なお、附帯工事を実際に自社施工する場合には、工事内容・規模によって技術者配置等について別途建設業法上のルールがありますので、この点も併せて確認する必要があります。
500万円の基準にも注意
建築一式工事以外では、原則として、
1件の請負代金が税込500万円未満
の工事は「軽微な建設工事」とされます。
つまり、
税込500万円ちょうどは「500万円未満」ではありません。
原則として該当業種の建設業許可が必要となる金額帯に入ります。
また、500万円の判定では、
- 消費税・地方消費税を含める
- 注文者から材料の支給を受ける場合は、その材料の市場価格や運送費を加えて判断する
- 原則として、1つの工事を複数の契約に分けても合計額で判断する
というルールがあります。
そのため、
「契約書を450万円にしているから大丈夫」
というだけでは判断できない場合があります。
※建築一式工事については軽微な建設工事の基準が異なり、1件1,500万円未満又は一定の木造住宅工事という別の基準があります。
「工事名」ではなく「実際の施工内容」で確認しましょう
ここまで見ていただくと分かるとおり、
建設業許可の業種は、見積書に記載された工事名称だけで決まるものではありません。
たとえば、
「設備工事」
だけでは、
- 電気工事
- 管工事
- 機械器具設置工事
- 電気通信工事
などのどれに当たるのか判断できません。
「改修工事」
だけでも、
- 内装仕上工事
- 塗装工事
- 防水工事
- 大工工事
- 建具工事
などさまざまな可能性があります。
したがって、許可業種を判断するときには、
「何を施工するのか」
「どのような方法で施工するのか」
「どこまでを自社が請け負うのか」
「主たる工事は何なのか」
「附帯する工事があるのか」
まで確認することが大切です。
間違った業種で許可を取らないために
建設業許可は業種別の制度です。
そのため、
「とりあえず何か1つ建設業許可を持っていればよい」
というものではありません。
一方で、
「やっている工事に少しでも関係する業種を全部取っておけばよい」
という考え方もおすすめできません。
許可業種ごとに営業所技術者等の資格・実務経験要件を確認する必要があるため、必要以上に業種を増やせば申請の難易度も上がります。
まずは、
現在どんな工事を受注しているのか
そして、
今後、どんな工事を、どの程度の金額で受注したいのか
を整理することから始めるのがおすすめです。
「自社が何工事業か分からない」という段階でもご相談ください
行政書士事務所RTSでは、建設業許可申請について、
「建設業許可を取りたいけれど、何の業種を取ればよいのか分からない」
という段階からご相談いただけます。
たとえば、
- 自社の工事が何業種なのか分からない
- 見積書や請求書を見て判断してほしい
- 500万円以上の工事を受注する予定がある
- 建築一式と専門工事のどちらを取るべきか分からない
- 外構工事が何業種になるのか確認したい
- 機械器具設置と管工事・電気工事の区別が分からない
- 複数の業種を取った方がよいのか相談したい
- 今持っている資格で何業種取得できるか知りたい
というご相談でも構いません。
最初から許可業種をご自身で判断していただく必要はありません。
実際の工事内容、見積書、請求書、施工実績、保有資格、今後予定している工事などを確認しながら、
「何の許可が必要なのか」
「その許可を取得できる要件があるのか」
「不足している要件をどう補うのか」
まで整理していきます。
「この工事、何業種?」だけでもお気軽にお問い合わせください
建設業許可の29業種は、一覧を見ただけでは分かりにくいものです。
特に、
- 内装・改修工事
- 外構工事
- 設備工事
- 機械設置工事
- 太陽光工事
- 鉄骨工事
- 看板工事
- 給排水工事
- 防水工事
- 解体を伴う工事
などは、具体的な施工内容を確認してから判断した方が安全です。
「まだ許可を取るか決めていない」
「500万円以上の仕事の話が来たので、とりあえず確認したい」
「自社が何工事業になるのか知りたい」
という段階でも問題ありません。
「この工事なら何の建設業許可が必要?」というところから、行政書士事務所RTSへお気軽にご相談ください。
工事内容や今後の受注予定を確認し、必要な許可業種、営業所技術者等の資格・実務経験、その他の許可要件まで整理して、建設業許可取得をサポートいたします。
※本記事は2026年8月17日時点の建設業法、国土交通省「建設業許可事務ガイドライン」及び東京都の公表資料等をもとに作成しています。建設工事の業種区分は、工事名称だけでなく、具体的な契約内容、施工内容、施工方法、請負範囲、主たる工事と附帯工事の関係等によって個別に判断されます。実際の契約・許可申請に当たっては、個別の工事内容を確認することをおすすめします。
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